都々逸で御題
一寸も はなれまいぞと思うた仲は 主も五分ならわしも五分
岡惚れ三年 本惚れ三月 思い遂げたは三分間
顔見りゃ苦労を忘れるような 人がありゃこそ苦労する
この雪に よく来たものと 互いに積もる 思いの深さを 差してみる
主はいまごろ醒めてか寝てか 思いだしてか忘れてか
お酒飲む人しんから可愛い 飲んでくだまきゃなお可愛い
泣くもじれるも ふさぐもお前 機嫌なおすも またおまえ
惚れて惚れられなお惚れ増して これより惚れよがあるものか
おまえの心と氷室の雪は いつか世に出てとけるだろ
論はないぞえ惚れたが負けよ どんな無理でも言わしゃんせ
たったひとこと言わせておくれ あとでぶつともころすとも
色じゃないぞえ ただ何となく 逢ってみたいは惚れたのか
小唄都々逸なんでもできて お約束だけ出来ぬ人
おまえ死んでも寺へはやらぬ 焼いて粉にして酒で飲む
力強ても叶わぬものは 場所の勝負と恋の闇
恋に焦がれて鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が身を焦がす
目尻手指に 年月刻む その一筋に なれたなら
察しておくれよ 花ならつぼみ 咲かぬところに味がある
真昼の畳で 重なる身体 声を隠した 蝉時雨
見てるだけでも良かった筈が どこでどうしてこうなった
見えぬ貴方の くちびる探す 夜に咲きたる 夏の花
君は可愛や 日頃は猛る 虎がころりと 猫になる
よせばいいのに 深読みしすぎる 惚れた弱みの 浅ましさ
寒くなったと 言い訳ひとつ 枕抱えて 背を合わす
花は口実 お酒は道具 酔ってしまえば 出来心
小指と小指 結んだ糸を 戯れだとは言い切れず








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